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小さいきょうだい [スウェーデン]
小さいきょうだい―四つの物語 (リンドグレーン作品集 (14))
- 作者: リンドグレーン
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/11/27
- メディア: 単行本
「長くつしたのピッピ」や「やかまし村の子どもたち」「名探偵カッレくん」など、
子どもたちの生活や冒険を豊かな創造力で描いた作品で知られるリンドグレーン。
でもこの「小さいきょうだい」は、それらのポジティブでユーモアあふれる作品とは
ちょっと違う趣の、4つの作品をまとめた短編集です。
まず、どの作品も
「むかしむかし、貧乏がひどかったころ」で始まり、主人公はいずれも恵まれない
境遇の子どもたち。
貧しい生活や病気と闘ううち、ファンタジックな世界に入っていくところは同じ構成
なのですが、最初の2つの物語「小さいきょうだい」「ボダイジュがかなでるとき」
と、後半の2つ「カペラのヒツジ」「公子エーカのニルス」とは大きく違います。
前半の2作品は、リンドグレーンには珍しく、悲惨さを秘めた意外な結末なのです。
でも、子どもの読者のために、あくまでもやさしい語り口なので、子どもたちは
「ああ、最後はやっと幸せになれてよかったね」と思えるでしょう。
しかし、大人が読むと、物語の真意がわかります。
私は最近改めて読んで、
「なんて美しく悲しい物語なんだろう!」と感嘆してしまいました。
特に「ボダイジュがかなでるとき」はなんとも言えないやるせなさと、まるで天使の
物語のような神々しさを感じます。
それに対して後半2作は、ハラハラする展開ののちにハッピーエンドを迎える物語。
ただし単純なお話ではなく、「公子エーカのニルス」では、地の文に物語の語りと
ニルスによる語りとが入り混じることで、スリル感を高めるなど、独特の工夫が
されています。
こんなことも、大人になってから読まないと味わえない部分なので、
改めてこの作品を読んでみてよかったな~、と思いました。
日常生活に疲れた大人だからこそ、これらのシンプルで美しい物語に、
心が洗われる気がするのかもしれません。
みなさんにも、ぜひお勧めします!!
タグ:リンドグレーン
おはなしのろうそく [日本]
図書館の一室、真っ暗な部屋でろうそくを一本ともして語られる、「おはなしのろうそく」。
みなさんはご存知ですか?
私は子どものころに月に一回くらい図書館で開かれるこのお話会を、楽しみにしていた
思い出があります。
絵本の読み聞かせとはちょっと違って、言葉だけで語られ、聞き手の想像力を
かきたてる、そんな「おはなしのろうそく」にぴったりな話を集めたのが、東京子ども
図書館が発行しているこのシリーズ。
髪の長いお姫様のお話、「ラプンツェル」のような有名な話から、詩のようなものまで、
世界各国のお話が集められ、巻末にはそれぞれ何分で語れる、何才ぐらいの
子ども向き、などといった語り手のためのガイドも載っています。
私は以前、編集の仕事をしていた時に東京子ども図書館を取材で訪れ、
このシリーズが8冊ぐらいまとまったものをいただきました。
そして子どもが生まれてある程度の年齢になってからは、時々このシリーズ
からお話を選んで寝る前に読み聞かせてやっていました。
絵がなくても想像や語感だけで楽しむことのできる、お話の数々。
現在は28巻(?)まで出ているようです。
ぐるんぱのようちえん [日本]
ぐるんぱのようちえん(こどものとも絵本) (こどものとも傑作集)
- 作者: 西内 ミナミ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1966/12/15
- メディア: 大型本
一人ぼっちで、大きくて汚い象のぐるんぱ。
仲間たちの会議の結果、町に働きに出ることになりました。
いろいろなお店に行きますが、ぐるんぱの作るものは
人間には大きすぎて、すぐに追い出されてばかり・・・。
なんと今から40年以上前の作品。
しかし、まったく色あせることなく、読み継がれている名作の一つです。
その魅力は、まず絵。
明るく丸みのあるタッチの水彩画で、時代や国を感じさせない普遍性があります。
そして物語は、修行?に出されたぐるんぱが、失敗ばかりで、いったい
どうなってしまうんだろう、と読み手の子どもたちをハラハラさせる展開。
ところが、結末は思いもしないような楽しいもので、読んでいてうれしくなってしまいます。
無駄のない文章、レイアウトの作り方がツボを押さえている点など、
改めて読むと、長年愛されるだけのことはあるな、と感じさせる作品です。
くまのコールテンくん [アメリカ]
(原題:Corduroy )
作:ドン・フリーマン 訳:まつおかきょうこ
おもちゃ売り場の棚で、買ってくれる人を待つ、くまのコールテンくん。
一人の女の子が気に入ってくれますが、お母さんに
「これ、新品じゃないみたい。つりひものボタンが取れてるわ」と
言われてしまいます。
そこで、デパートが閉まったあと、コールテンくんは取れたボタンを
探しにいくことに・・・。
黒く太目の線が主体で、まるで版画のようなタッチの絵。
絵も文章もシンプルだけど、とてもあったかい感じが伝わってきます。
その理由の一つは、コールテンくんが自分に起こるできごとを、
いつもポジティブに受け止めていこうとすること。
誤ってエスカレーターに乗ってしまった時は、
「ぼく、ずっと前から山に登って見たいなあって思ってたんだ」。
そんなところが、かえって読者の気持ちをハラハラさせる部分があって、
最後にコールテンくんとリサの気持ちが一つになると、
「ああ、よかったね」と、なんだかほっとしてしまうのです。
素朴なくまのぬいぐるみと、特別に裕福ではない普通の少女との、
暖かい物語です。
作:ドン・フリーマン 訳:まつおかきょうこ
おもちゃ売り場の棚で、買ってくれる人を待つ、くまのコールテンくん。
一人の女の子が気に入ってくれますが、お母さんに
「これ、新品じゃないみたい。つりひものボタンが取れてるわ」と
言われてしまいます。
そこで、デパートが閉まったあと、コールテンくんは取れたボタンを
探しにいくことに・・・。
黒く太目の線が主体で、まるで版画のようなタッチの絵。
絵も文章もシンプルだけど、とてもあったかい感じが伝わってきます。
その理由の一つは、コールテンくんが自分に起こるできごとを、
いつもポジティブに受け止めていこうとすること。
誤ってエスカレーターに乗ってしまった時は、
「ぼく、ずっと前から山に登って見たいなあって思ってたんだ」。
そんなところが、かえって読者の気持ちをハラハラさせる部分があって、
最後にコールテンくんとリサの気持ちが一つになると、
「ああ、よかったね」と、なんだかほっとしてしまうのです。
素朴なくまのぬいぐるみと、特別に裕福ではない普通の少女との、
暖かい物語です。
おにいちゃんにははちみつケーキ [イギリス]
おにいちゃんにははちみつケーキ (主婦の友はじめてブック―おはなしシリーズ)
- 作者: ジル ローベル
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 大型本
作:ジル・ローベル 絵:セバスチャン・ブラウン 訳:なかがわちひろ
弟マメタが生まれてお兄ちゃんになったコンタ。せっかく作った
積み木も、お母さんは見てくれなくて、赤ちゃんにかかりっきり。
ふてくされて物置に閉じこもり、「いけない」歌を歌いだした
コンタですが・・・。
ママを赤ちゃんに取られてしまったお兄ちゃんの気持ちを描いた絵本。
特別な展開などはありませんが、この作品の魅力は、なんといっても
赤・ピンク・オレンジ・黄色を主体とした、ユーモラスであたたかい絵。
そして、外国のお話なのに、「コンタ」とか「マメタ」といった日本語風の名前に
訳されているのもおもしろいですね。
「はちみつケーキ」は最後に出てくる小道具でしかありませんが、
全体がはちみつのように甘くてとろ~りとした雰囲気の絵本です。
それにしても、どんなケーキかと思ったら、普通のデコレーションケーキ
のように描かれているのが意外でした。(^^)
いやいやえん [日本]
作:中川李枝子 絵:大村百合子
ちゅーりっぷ保育園の先生の言うことをちっともきかない、
やんちゃ坊主のしげる。
ちこちゃんと同じ服を着せられたり、黒い山で鬼に会ったり、
「いやいやえん」に入れられたり・・・。
なつかしの「いやいやえん」! 1962年の作品なんですね~。
それでもまったく色あせない、『ちゅーりっぷほいくえん』『くじらとり』
『ちこちゃん』『やまのこぐちゃん』『おおかみ』『山のぼり』『いやいやえん』
の7つのお話からなる短編集です。
生意気な「しげる」は、現代の男の子とも全く変わらない。
こういう子いるなー、という感じです。(笑)
リアルに子どもの世界を描きながらも、物語は意外な方向へ展開していくという、
現実からファンタジーへの移行がとても自然で、この作品が永遠に愛される
秘密のような気がします。
私が今でも忘れられないのは、「ももいろの山」が出てくる『山のぼり』
ですが、うちの子のお気に入りは『やまのこぐちゃん』。
先生にほめられてうれしそうなこぐちゃんの絵は、単純なのに本当にかわいい!
ちゅーりっぷ保育園の先生の言うことをちっともきかない、
やんちゃ坊主のしげる。
ちこちゃんと同じ服を着せられたり、黒い山で鬼に会ったり、
「いやいやえん」に入れられたり・・・。
なつかしの「いやいやえん」! 1962年の作品なんですね~。
それでもまったく色あせない、『ちゅーりっぷほいくえん』『くじらとり』
『ちこちゃん』『やまのこぐちゃん』『おおかみ』『山のぼり』『いやいやえん』
の7つのお話からなる短編集です。
生意気な「しげる」は、現代の男の子とも全く変わらない。
こういう子いるなー、という感じです。(笑)
リアルに子どもの世界を描きながらも、物語は意外な方向へ展開していくという、
現実からファンタジーへの移行がとても自然で、この作品が永遠に愛される
秘密のような気がします。
私が今でも忘れられないのは、「ももいろの山」が出てくる『山のぼり』
ですが、うちの子のお気に入りは『やまのこぐちゃん』。
先生にほめられてうれしそうなこぐちゃんの絵は、単純なのに本当にかわいい!
タグ:いやいやえん
いもうとのにゅういん [日本]
いもうとのにゅういん(こどものとも絵本) (子どものとも傑作集)
- 作者: 筒井 頼子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1987/02/25
- メディア: 大型本
あさえが幼稚園から帰ってくると、妹のあやちゃんが盲腸で入院
することに。お母さんとあやちゃんがいなくなったあと、一人
ぼっちで人形の「ほっぺこちゃん」を抱いて、お父さんの帰りを
待つあさえ・・・。
「こんとあき」の作者、林明子さんと、「はじめてのおつかい」の作者、
筒井頼子さんによる作品。
どちらも、日本的でわかりやすく、心温まる作品を書く人だけに、
この絵本もとても素敵です。
初めて一人で過ごす時間、お父さんと二人だけの夜を経験したあさえが、
妹に対しておねえさんらしい思いやりを持てるようになる。
そんな小さな成長が、優しい絵と語りでさりげなく描かれています。
お人形の名前「ほっぺこちゃん」も印象的で、あさえの洋服や髪型も
かわいらしく、女の子の心をぎゅっとつかんでしまう絵本です。
クリスマスってなあに [オランダ]
作:ディック・ブルーナ 訳:ふなざきやすこ
ミッフィーちゃんでおなじみの、ブルーナによるクリスマスの絵本。
ヨゼフとマリアのもとに、イエスさまが誕生する夜のお話が、
小さな子にもわかりやすく、淡々とつづられています。
ブルーナには珍しく、原色の少ない、グレー系のおさえた色調で、
落ち着いた絵柄。
でもとてもセンスのいい色合いです。
日本人には、クリスマスって何なのか、よくわからないところがあるので、
大人にも勉強になります。
イエスさまの誕生の年が、西暦の始まりだったなんて、この絵本で
改めて知りました・・・(^^;)
ミッフィーちゃんでおなじみの、ブルーナによるクリスマスの絵本。
ヨゼフとマリアのもとに、イエスさまが誕生する夜のお話が、
小さな子にもわかりやすく、淡々とつづられています。
ブルーナには珍しく、原色の少ない、グレー系のおさえた色調で、
落ち着いた絵柄。
でもとてもセンスのいい色合いです。
日本人には、クリスマスって何なのか、よくわからないところがあるので、
大人にも勉強になります。
イエスさまの誕生の年が、西暦の始まりだったなんて、この絵本で
改めて知りました・・・(^^;)
タグ:ブルーナ
100こめのクリスマスケーキ [日本]
クリスマスイブの朝、100個のケーキを作る、ケーキ屋さん。
99個が売り切れたけど、もう一人、小さなお客さんが・・・。
小さなかわいい「刺繍絵本」。そう、筆で描いた絵ではなく、
刺繍による絵本なんです。かわいい色の糸で描かれた、
たくさんのおいしそうなケーキ。
日本の作品ですが、色使いやセンスは、まるで外国の絵本のよう。
そしてこの本とセットになっているのが、
「あっちゃんとゆびにんぎょう」。
こちらはケーキ屋さんの立場でなく、小さなお客さん、
「あっちゃん」の立場で同じストーリーが描かれています。
単純でわかりやすい絵とストーリーは、小さな子にもOK。
そして、クリスマスの贈りものにもぴったり!
99個が売り切れたけど、もう一人、小さなお客さんが・・・。
小さなかわいい「刺繍絵本」。そう、筆で描いた絵ではなく、
刺繍による絵本なんです。かわいい色の糸で描かれた、
たくさんのおいしそうなケーキ。
日本の作品ですが、色使いやセンスは、まるで外国の絵本のよう。
そしてこの本とセットになっているのが、
「あっちゃんとゆびにんぎょう」。
こちらはケーキ屋さんの立場でなく、小さなお客さん、
「あっちゃん」の立場で同じストーリーが描かれています。
単純でわかりやすい絵とストーリーは、小さな子にもOK。
そして、クリスマスの贈りものにもぴったり!
メルローズとクロック えがおをさがしに [イギリス]
えがおをさがしに―メルローズとクロック (児童図書館・絵本の部屋)
- 作者: エマ・チチェスター クラーク
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 大型本
作:エマ・チチェスター・クラーク 訳:たなか まや
犬のメルローズと、ワニのクロックは仲良く暮らす親友同士。
ところがある時、メルローズが「笑顔」をなくしてしまいます。
クロックは「だったら、さがしにいこうよ!」とメルローズを外に連れ出して・・・。
「しあわせの三つのおしえ」の作者による、最新絵本です。
やや暗めの絵柄だった「しあわせの~」に比べ、明るいパステルカラーが
中心で、かわいいイラストタッチの水彩画。
ちなみに他の作品では、「ブルーカンガルー」シリーズもあり、
こちらもイギリスらしい色使いの、かわいい絵本です。
笑顔を探すために、野原にメルローズを連れ出すクロック。
ドラマチックなわけではなく、ほのぼのとした展開ですが、子どもは
メルローズやクロックのかわいらしさが大好きになってしまいます。
そして大人としては、やっぱり落ち込んだ時は、自然の中で遊ぶのが一番
だよな~、と妙に納得させられてしまうのでした・・・。
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